モンゴルで日々奮闘していた協力隊員の日記

H26-2青年海外協力隊員(職種:青少年活動)として、モンゴルで2年間活動していました。

「太陽の家」の教育 子どもの自立に必要なもの 

今日は私の配属先、孤児院「Нарний хүүхдүүд(太陽の子ども達)」がどんなところなのか、そしてその教育方針をみなさんに紹介したいと思います。

 

子育てをされている方や学校の先生方も、この施設から学ぶことがあるのではないかと思うので、ぜひ読んでくださればと思います。

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名前の如く、太陽みたいにキラキラ輝いている子ども達が住んでる孤児院。

 

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この施設は、もともと国際NGO団体「SAVE THE CHILDREN」の援助により、ダルハン県のマンホール・チルドレンを保護するために建てられました。

 

マンホール・チルドレンとは、路上(ストリート)では寒いので、温水が流れているマンホールの中で生活している子ども達のことを指します。しかし、その環境は劣悪です。(モンゴルのマンホールチルドレンについて、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください→マンホールチルドレンとは | NGOユイマール(旧称NGOゆいまーるハミングバーズ)

 

現在、ダルハン市内には、マンホール・チルドレンはいないと聞きますが、アパートの地下に2畳くらいの広さしかないところで暮らしているような貧しい家庭は、まだまだ無くなっていないのが現状のようです。

 

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施設には、現在、小学生から高校生までの女の子20人、男の子20人の、全部で40人が、共同生活をしています。

 

18歳以上になると、孤児院を出なければいけないというモンゴルの法律があるため、この施設では、子ども達が一人でもしっかり生きていける力「自立」を目標に、以下の教育を行っています。

 

 ①自分でできることは、自分でさせる

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炊事洗濯、掃除などは全て子ども達が当番制で行います。

自分たちの手でさせることで、生活力を身に着けさせます。

 

先生に「掃除をしなさい」と言われて、嫌がる子・面倒くさがる子は1人もいません。みんなで協力して、時間をかけずに終わらせます。

年上の子達が見本になって動いているので、年下の子ども達もそれを見習ってよく働きます。

 

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だから、子ども達はお手伝いをすること、言われたことをすること、みんなで協力すること等に、とても素直です。むしろ、「自分が!自分が!」と言って、お手伝いをしたがります。

 

面倒くさがりな私と比べると、ほんと頭が上がりません。

 

日本の学校で働いていた者の1意見ですが、こういった子ども達は日本社会から減ってきているのではないでしょうか。

 

炊事洗濯はほとんど機械がやってくれる、お金を払えば面倒くさいことも誰かがやってくれる、そういったサービスが充実している日本では、人間の生活力がどんどん衰えているように思います。

 

②高いスキルを身に着けさせる

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子ども達は、モンゴルの伝統踊り、

f:id:midochang:20150104232652j:plain伝統楽器(馬頭琴、ヨーチン、琴)、ホーミー、

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アクロバット、

その他に、絵、裁縫、パン作り、日本語、英語など、学校の勉強以外に、色んなスキルを日々身に着けています。孤児院には、子ども達のお世話をしている先生以外に、色んな分野の専門の先生がおり、また設備の整った学校も併設されています。

 

実は、私がやっている仕事がその一環で、日本語の先生として私は働いています。

 

音楽は子どものIQを高くするといった研究(参照:音楽がIQを高くする―米国の学力向上策にも - WSJ)もありますし、スキルを身に着けることで、職業の選択肢が広がるという利点もあります。

 

実際、この施設を卒業した子ども達が、モンゴルの東大、京大レベルの大学に入学し、音楽、踊り、弁護士、医者等の学部で勉強しています。日本に留学している子もいます。

 

そして、1年に1回、選抜メンバーは日本に行って、モンゴルの伝統音楽を伝えるコンサートを行っています。つまり、頑張った成果を発表する場が用意されているのです。

「日本」は子ども達にとって、憧れの舞台です。

このメンバーに選ばれるために、子ども達は日々頑張っています。

 

 ③愛情をたっぷり与えながら、悪いことは悪いと厳しくしかり、できたこと頑張ったことは全員の前で褒める

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 子ども達を育てている、施設の先生達です。

子ども達の24時間お世話係、絵、裁縫、パン作り、音楽、日本語、英語等の先生がいます。

 

子ども達は、ここの施設に来る前は、うそをつく、喧嘩、スリ等の悪い習慣がたくさんあったそうです。それは、両親や片親がいなく愛情不足、貧しい生活環境の中では仕方のないことだったかもしれません。

 

そういった習慣を更生し、子ども達を自立させるために、先生達が親代わりとなって日々接しています。子どもが先生達の言うことをちゃんと聞くのは、強い信頼関係と深い愛情、安心感があるからです。

 

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施設の園長先生と子ども達。

年末のパーティーで、今年1年頑張った子ども達(学年1位の成績をとった、今年1番成長した、お手伝いや勉強をよく頑張った等)に、賞状とプレゼントを贈っていました。

 

「頑張れば認められる」という期待、安心感を与える

「自分はできる」という自信をつけさせる

「次は自分が褒められるように頑張ろう」というやる気、意欲を引き出す

 

こういうプラスのサイクルが子ども達の中にあるから、

素直で向上心のある子どもが育っているのではないかと思います。

 

もともと、遊牧生活を送り、いつ家族がバラバラになるか分からないという厳しい環境の中で生きてきたモンゴルの人達は、子どもの「自立」という点を重視して子育てをしてきた、ということを聞いたことがあります。

 

私自身、教育者として学ぶことは沢山ありますし、子育てに関わる全ての方にとっても参考になることがあるのではないでしょうか。

 

関心することはまだまだあるので、

おいおい書いていけたらと思っています。

 

今日も読んでくださって、ありがとうございました。