モンゴルで日々奮闘していた協力隊員の日記

H26-2青年海外協力隊員(職種:青少年活動)として、モンゴルで2年間活動していました。

モンゴルでの「孤児院」に対する意識

 

2015.9.2

 

2か月ぶりの投稿です。

皆さんお元気ですか?モンゴルに夏、来てくださった皆さん、ありがとうございました。

 

久しぶりですが、今日、色々考えさせられる出来事があったので、書きたいと思います。

 

今日仕事が休みだったので、家で休んでいると、同僚から、

「今からダルハンの50周年記念公園で、うちの子ども達(児童養護施設「太陽の子ども達」の子ども達のこと)が踊ったり歌を歌ったりするから、パソコン貸して!」と連絡が来ました。

 

以前の記事にも書きましたが、「太陽の子ども達」は年に1回日本でモンゴル伝統芸術コンサートができるほど、伝統民族舞踊、歌、曲芸、伝統楽器による演奏などのレベルはかなり高いです。

 

(以前の記事。)

midochang.hatenablog.com

 

 

(日本でのコンサートの様子です。ぜひ、下の動画をご覧ください。)

【NGOユイマール】太陽のコンサート2012 予告ムービー - YouTube

www.youtube.com

 

「ダルハン市民に、うちの子ども達の素晴らしさを披露できる機会だ!」

と私は楽しみにして出かけていきました。

 

公演に着くと、ちょうど始まるところだったので、カメラを構えて人混みの中に行きました。

 

その会には、ダルハンにある色々な会社や施設、学校等が呼ばれて、新商品の展示会や、踊り歌を披露したりするものでした。モンゴルは、9月が新学期なので、新しい年度の始まりということで、そういう会を開いているようです。

 

最初は、民族舞踊。「ションホル」という、鷹をモチーフにした踊りです。

今年で、施設は15周年を迎えたので、その記念式で新しく披露した踊りです。

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集まっていたお客さんも沢山見ていて、踊りもばっちりきまって、良い感じに終わりました。

 

その後、歌を2曲、踊りをもう1曲披露したのですが、最初の「ションホル」を見ていたお客さんが歌の途中なのに、次々に帰り始めたのです。

 

司会のそばに並んでいたお偉いさんたちも徐々に減り始め、観客席に私1人ぽつんと残され、あとは周りに店開きをしていた人達がいるぐらいでした。

 

「えっ?なんで歌の途中なのに、帰っちゃうの?まだ終わってないよ!」

と心の中で思いながら、私だけは最前列で最後まで見るんだと思って、見ていました。

 

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決して、日本でのコンサートに比べて質が落ちている訳ではありません。

動画を載せられないのが残念ですが、子ども達の舞台は素晴らしいものでした。

 

終わった後、子ども達のそばによると、

「見ていたの、先生1人だけだったね。」

と笑って冗談っぽく言いました。

 

私は怒り心頭で、

「なんで君たちがこんなに一生懸命歌って、踊っているのに、人は見ないの?!」

と尋ねました。

 

すると、

「モンゴルでコンサートすると、いつもこんな感じだよ。「孤児院」という名前を聞くだけで、人は興味を示さないんだ」

と言いました。

 

子ども達は私よりずっと大人で、そのことをちゃんと理解していたのです。

 

私は、本当にショックで、イライラして、いたたまれない気持ちになりました。

 

 

これが、今のモンゴルでの現実です。

学校でも、「孤児院出身」というだけで差別を受けたり、先生の子どもに対する対応が違うそうです。それは、孤児院出身の子ども達が、盗みをしたり暴力をしたりする事が多いからです。

 

でも、その子達がなぜ盗みをしたり、暴力をふるうのか。

それは、親から暴力をふるわれていたり、貧しくて盗みをしないと食べるものが無い、生きていけない生活があるからです。

 

もちろん、盗みや暴力はいけないことですが、それをする背景や理由に対して、周りがもっと理解して欲しいと私は強く思っています。

 

私は日本の実態を知らないのですが、日本でもそうなのでしょうか。

「孤児院」という名前から、「児童養護施設」に変わったのも、そのような理由があるからでしょうか。

 

 

モンゴル政府は、お金がありません。日本のように児童養護施設を援助する補助金がモンゴルにはありません。

 

だから、日本から支援金や支援物資をいただいて、普通の子と変わりない服を着て、文房具を持って、ご飯を食べられるというのは、子ども達にとってとっても大切で、差別を防ぐ方法の一つなのです。

 

そういう理由でも、支援者の皆さん、本当にありがとうございます。

 

 

私も、アメリカにいた時、「日本人だから」という理由で差別を受けたことがありました。英語がうまく話せなくて、バカにされたこともありました。だから、差別を受ける人の気持ちが、とっても哀しくて、寂しくて、いたたまれない、というのがよく分かります。

 

その時思ったことが、「相手のことを知り、理解することで、差別や偏見は無くなる」

 

モンゴルの人も、もっと児童養護施設に出向き、子ども達と交流し、理解することで、「孤児院」という偏見を無くして、モンゴル全体がそういった施設に対して理解を示して欲しいなと思いました。

 

このことをぜひ日本の皆さんも知ってください。

 

 

今日も読んでくださって、ありがとうございました。