モンゴルで日々奮闘していた協力隊員の日記

H26-2青年海外協力隊員(職種:青少年活動)として、モンゴルで2年間活動していました。

モンゴルの旧正月~ツァガン・サル~

2015年2月18~22日、モンゴルでは旧正月(通称「ツァガンサル」)が行われました。

 

とっても簡単にモンゴルの旧正月を説明すると、

日本のお正月と一緒で、家族や親戚同士が集まって、挨拶をし、伝統料理を食べ、贈り物を渡し、新しい年に向けてみんなでお祝いするという行事です。

 

ツァガンサルについて詳しく知りたい方は、こちら↓を見てもらうと分かりやすいと思います。


ツァガンサル豆知識 | 風の旅行社

 

旧正月の日程は、旧暦に従って決められるので毎年変わります。

 

面白いお話に、この日程を決めている2人の高僧の名前が、

「あれじゃない(テルビッシ)」と「これじゃない(エヌビッシ)」。

だからなのか、年によっては2人の意見が食い違うみたいで

場所によって旧正月の日程がずれることがあるそうです。

つまり、あるお家にいったら旧正月1日目なのに、違うお家に行くと旧正月2日目だったりするということ。なんだし~!

 

私は、アルハンガイ県にあるイヒタミルという村で、モンゴル人の友達の旧正月にお邪魔させてもらいました。

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ウランバートルから車で約8時間。モンゴル内の移動だったら、時間は短い方です。

 

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イヒタミルまでの道の途中にラクダがいました。

冬のラクダは、毛がふさふさして立派なんだそうです。暖かくなると毛が抜けて、少しみすぼらしくなるとか。

 

 友達のお婆さんのゲルにお邪魔しました。ゲルの中は暖かくて人が近くて静かで、とても落ち着く空間でした。

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旧正月では、どこの家でもこの「オーツ」(写真左:その年で最も良い羊の胴体。蒸したり、茹でたりして作られる)と、「ヘビン・ボーブ」(写真右:練った小麦粉を脂で揚げて、棒上にしたボーブを重ね、その上にアーロールやキャンディなどを置いて飾る)を家に飾ります。

ヘビンボーブの大きさは年長者になるほど大きく、また重ねる数は下から数えて「幸せ→不幸せ→幸せ→…→幸せ」で終わるように必ず奇数だそうです。

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家に入るとまず、年長者の方から順番に「アマルバイノー」と言って、左→右の頬の匂いをかぐ挨拶します。

最初は顔を近づけるのも恥ずかしかったけど、今では自分からキスをしてしまうくらい、この挨拶が好きになってしまいました。

挨拶の時には「ハタガ」と呼ばれる色のついた長方形の布を両手に持ちます。このハタガの色は何親類かあって、それぞれ意味合いが違って面白いです。

 

 

挨拶が終わったら、アリヒ(モンゴルのお酒)を飲み、ご飯を食べます。

遊牧民の方たちは、日ごろよく会っているからか、みんなでワイワイ話すというよりは、近くに座っている2~3人が話す感じで、割と静かな時間でした。

 

そして、会も終わりに近づいてお腹も良い感じにいっぱいになってきた頃、

ここからが旧正月のメインイベント!

 

「Let's eat ボーズ!!!」いぇーい!

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「ボーズ」とは、羊や牛などのお肉を小麦粉の皮で包んで蒸した、モンゴルの伝統的な料理です。上の写真で、お婆ちゃんが並べているのがそれで、日本人がイメージしやすいのは中国のシュウマイです。諸説あるみたいですが、元々はボーズがシュウマイの起源だとも言われています。

 

例えお腹がいっぱいでも、ボーズを拒否することは失礼にあたります。

でも、出来立てのボーズは肉汁が皮の中から流れ出てきて、とても美味しいのです。

これがお腹いっぱいでなければ、もっと美味しく感じるだろうに…(T□T)

 

そして、お菓子や洋服等のプレゼントを家主さんからいただいて、会は終了です。

 

 

これで終わり?いやいや冗談はよしなすって。

 

 

ここからが旧正月のメインイベント・パート2!!!

 

さっきの挨拶からプレゼントをもらう工程を、なんと旧正月5日間で何度も何度も繰り返し行うのです。

 

どういう意味かというと、日本では年長者の家に親戚一同が会すのが一般ですが、モンゴルでは親戚や友達の家々を順々に挨拶まわりすることが一般なのです。

つまり、お婆ちゃんの家、お婆ちゃんの兄弟の家、叔父さんの家、奥さんの実家、同僚の家、友達の家…とまわり、1日に多いときで8~10件くらい回る人もいます。

 

そのたびに、アリヒを飲みご飯を食べそしてボーズを食べる訳ですから、最後のご馳走のはずのボーズが辛くなってくる…。・゜・(ノД`)・゜・。

でも、各家庭によってボーズの味が違うのが分かるくらいになりましたよ!

来年あたり、利きボーズできるんじゃないか?!笑

 


今年の18日は、「ビトゥン」と言って旧正月の大晦日にあたりました。

なので、元日(19日)の朝は、日本のお正月と同じで初日の出を見に行きました。

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朝日が登るまで山の上で待ちます。

馬でやってきている遊牧民。絵になるなぁ…!

 

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そして、少しだけだけど寒い中待って見れたのが、

このモンゴルの雄大な自然と初日の出!

写真ではあまり伝わらないけれど、360度この自然が眼前に広がっていて壮大なのです。

日本人の感覚だと1月1日が初日の出なので、1年に2回初日の出が見られるってとっても得した気分でした。

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日が登ると、アーロール(牛乳をアルコール発酵させ、蒸留後の残物(アルツ)を乾燥したもの。硬い。こういう硬い食べ物をよく食べているから、モンゴル人は歯が強いし、顎も頑丈。)やミルクを太陽に向かって投げます。

食べ物を授けてくれる自然に感謝を表して、「オーハェー(ばんざい)!」

誰も口をつけていない一番最初の牛乳、最も尊いものを天に捧げるそうです。


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挨拶まわりの中で、田舎中の田舎にも連れて行ってもらいました。

道路もない山の谷間を車で走って行きます。私からするとどこも同じ景色ですが、地元の人はちゃんと分かって右折左折を繰り返していました。でもこんな雪の谷間で、もしガソリンが無くなったりエンジンが壊れたら、私は確実に死んでしまうなと、死の恐怖も感じました。


厳しい自然環境の中で生活している遊牧民さん達は、みんな立派な顔つきをされていました。私より年下の子でも馬を操り、落馬しても平気な顔をしていたり、若奥さんも子どもを育てながら家事をしてお客さんをもてなして、今の日本人の若者とは全く違う「生きる強さ」「生命力」を感じました。

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今回は書きたいことが山程あって大分長くなりましたが、ここまで読んでくださって、今日もありがとうございました。


それでは、また次回。

ばいびー!笑